大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和48年(ネ)1145号 判決

以上認定の事実関係からすると、控訴人は、被控訴人下村諸機より右各プレス機械の製作納入を拒絶されたことにより、もはや同会社から右各プレス機械の製作納入を受けることが不可能となったのはもちろんのこと、そのころ他から右特別仕様にもとづく同会社製の右各プレス機械を入手することも不可能の状態にあったものといわざるをえないから、控訴人の被控訴人東海鉄工に対する前記約定による本件各プレス機械の引渡債務は、これにより社会観念上、おそくとも同被控訴人会社に対し右売買契約の白紙還元を通告したころの昭和四一年一〇月三一日にはその履行が不能と確定し、以後ついに右履行が可能の状態に復したことはなかったとするのが相当である。

そうだとすると、控訴人は、右引渡債務の履行不能により以後被控訴人東海鉄工に対しこれを原因とする損害賠償債務を負うのは格別、控訴人主張の契約解除の成否を判断するまでもなく、本件売買契約における機械引渡債務は消滅したものといわざるをえないから、この引渡債務の存続を前提とするその履行遅延による前記約定の損害賠償額支払債務も右同日限り免れたものといわなければならない。なお、以上の次第であるから右同日以降に納期が到来する同目録三のプレス機械の引渡債務につき履行遅延による前記約定の損害賠償額支払債務を生ずる余地のないこともいうまでもない。

そうすると、控訴人は、被控訴人東海鉄工に対し同目録一、および二、の各プレス機械の引渡を遅延したことにより各約定納期の翌日である昭和四一年九月一六日から右引渡債務の履行不能が確定した同年一〇月三一日の前日までの約定予定額たる一日計金三〇万円による合計金一、三五〇万円の遅延損害金を支払うべき義務がある(この限りにおいて控訴人の権利濫用をいう余地はないから、控訴人のこの点に関する主張は採用しない。)が、同被控訴人主張のその余の義務はないものといわなければならないから、被控訴人東海鉄工の控訴人に対する請求は右認定の限度において正当としてこれを認容すべきであるが、その余は失当として棄却を免れない。

(畔上 安倍 唐松)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!